4 - 「対話」を進めて行く為の手段(コーチング)
前号では、人はそれぞれの価値観や習慣、生まれ育った環境(文化)、または双方の置かれている立場も異なる為に、共通のテーマ(目的やゴール)や状況に対しての解釈もそれぞれ異なってきますので、その解釈(意味)のズレを「対話」を通じて解決していく事が大切ですと書きました。
特にタイという外国で勤務をされていらっしゃる皆様の場合は、同じ会社からの出向者同士といえども出身事業部や部門が異なっている事も多く、更には社員の大多数を占める異なった文化的背景を持つタイ人従業員との間での「共通のテーマ」(目的やゴール)の共有は決して容易な事ではないと思います。
更にそのような環境の中にて、本社からの様々な要求に応え結果を出していく為には、どうしても日々の業務に追われがちになり、「対話」を通して共通のテーマ(目的やゴール)を共有していく事、更には現地化を推進する為に「自分なりの価値体系や意思決定基準をもって主体的に行動できる」「自分の意見や主張を明確に語る事が出来る」「自分の成長に強い関心がある」オーナーシップを持ったタイ人後継者の育成への対応はおざなりにされがちになってしまっているかもしれません。
これまで3回に渡り寄稿をして参りました「重要な課題ではあるが緊急度が低い為に社内でおざなりになっている事柄」(ビジョンの共有、社員とのエンゲージメント強化、現地化推進の為のタイ人後継者の育成等)への対応。
また、自ら考え自発的に成長をしていく組織・社員造りの為の「会社と社員」「社員と社員」の対話を推進していく事。
これらの課題への対応をしていく為の有効な手段として、近年では日系企業の中でも認知が進んで来ている、アメリカで発祥し定着をしているコーチングという手法が挙げられます。
コーチングは実施(もしくは受講)することが目的になりがちな集合研修や早期に結果(対策)は得られやすいが定着することが二の次になり易いコンサルタントの導入とは異なり、多少時間はかかりますが対話を通じての「気づき」と「行動変容」を促していく事が可能な手法であり、正に「重要な課題ではあるが緊急度が低い為に社内でおざなりになっている事柄」の解決や現地化推進の為のタイ人後継者育成の為の有効な手段になると考えます。
そのような背景から人材開発や組織開発の為に外部コーチの活用をしたり、また社内での上司と部下との「対話」を促進していく為のOne on One Meetingを導入する企業が増えて来ています。
以上