-3 - 駐在員の帰国に伴うリエントリーショック

放浪への憧れは募り
習慣の鎖に心苛だつ
冬の眠りよりふたたび
野生の血は目覚め行く
- 『野生の呼び声』ジャック・ロンドン著 冒頭より
この書き出しは、海外駐在を終え日本へ戻る多くの駐在員の心境にも重なるように感じます。
海外駐在の任期を終了して、日本へ帰国する。
それは「元の場所へ戻る」ことのようでいて、実はまったく別の環境に再び適応するプロセスかもしれません。
多くの駐在員には、赴任前のサポートは準備されているかもしれません。
しかし、帰国時のサポートについてはあまり準備されていないのが実情ではないでしょうか。
その結果、
- 帰国後の役割に違和感を覚える
- 評価基準が見えず、モチベーションが下がる
-「自分は何のために帰ってきたのか」が分からなくなる
そして時には、退職や転職という選択につながることもあります。
これは個人の弱さではなく、
「リエントリーショック(再適応の衝撃)」という構造的な課題ではないかと考えます。
そうだからこそ重要なのは帰国してから考えるのではなく、「任期の終了が近づいた時、あるいは帰国の内示が出た時点」から準備を始めることではないでしょうか?
具体的には、
- 駐在期間中に、自分は何を引き受け、何を手放してきたのか
- 現地で培った意思決定・関係構築・リーダーシップは何だったのか
- 日本の組織に戻ったとき、それらはどのような価値として翻訳できるのか
こうした振り返りを通じて、
帰国後の業務に向けた「マインドセット」を再構築していくことが不可欠です。
冒頭の『野生の呼び声』の主人公バックは、文明と野生の狭間で揺れ動きながら自分の本質に目覚めていきます。
駐在員の帰国もまた「海外か日本か」という二項の対立ではなく、
両方を経験した自分として、次のフェーズへ進むための大切な移行期なのだと思います。
帰国は終わりではなく、再編集の始まりです。
そのプロセスに、意図的に向き合う時間と対話があれば、リエントリーショックは「喪失」ではなく「資産化」することができると考えます。
あなたの組織では、帰国する駐在員にどのような対話の場が用意されているでしょうか?
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