-4 -  あなたは子どもの頃、どんな「生き方」に憧れていましたか?

あなたは子どもの頃、密かにどんな「生き方」に憧れていましたか?

私の場合は、どこにも完全には属さず、それていて世界に関与する存在への憧れでした。
例えば、ムーミン谷のスナフキンや、風の谷のナウシカに登場するユパです。
その根底には、アイコンとしての「海賊」のような生き方への憧れがありました。

今振り返ると、それらはすべて似たような思想系譜に属する存在だったのだと思います。
共通しているのは、
「支配されない位置から、世界に関与する」という在り方。
これはロマンに見えるかもしれませんが、実はとても挑戦的で、覚悟の要る立ち位置です。

私自身のこれまでの人生は、組織の外に居たわけではありません。
企業人としてのキャリアを重ね、複数の企業にて現地法人の経営にも携わってきました。
意思決定をし、責任を負い、内部の当事者として向き合ってきた時間の方が実は長いのです。
だからこそ分かるのですが、組織の内部に深く入るほど、視点は構造的に限定されること、
正しさは強化され、前提が疑われにくくなる場面が増えていきます。

そんな中で、心のどこかに常にあったのが「境界(ボーダー)に立つ視点」への憧れでした。
内でも外でもない位置、当事者でありながら距離を保てる視点。
境界に立つからこそ全体が見え、どこへも肩入れしすぎず、潮目の変化に早く気づける。

しかし、この立場には落とし穴もあります。
自身の立ち位置へのブレがみえた瞬間、それは自由ではなく、単なる現状への迎合や攪乱になってしまいます。
情報を奪わない。
信頼を自分の優位性に変えない。
影響力を短期的利益に換えない。
自由である分、誠実さはより厳しく問われます。
正直、誰にでも向く生き方ではないかもしれません。
孤独に耐え、組織の承認を糧にせず、長期的な信用を短期的な成果や報酬と交換しない覚悟が要る。

そして今、私はコーチという仕事をしています。
コーチの役割は、組織を外から傍観することではなく、当事者として境界に立ち続けることなのだと思います。
内部の利害に与せず、評論家にもならない。
答えを示すのではなく、前提を問い直す機会をつくる。
どこにも完全には属さない。
しかし組織の未来には責任を持つ。

私の子どもの頃の憧れは、長い組織人としての経験を経て、ようやく今の仕事とつながりました。

あなたの組織では、「境界に立つ声」はどこで拾われていますか。

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