-5 - 「コーチングのROIは測れますか?」 (経営者、現地法人責任者の方々からよく頂く問いかけです)

「コーチングのROIは測れますか?」
(経営者、現地法人責任者の方々からよく頂く問いかけです)
この問いには、なかなか即答できない理由があります。
なぜならコーチングの効果が直接影響しているのは売上やKPIではなく、「判断・決断の為の思考の質」そのものだからです。
企業や現地法人の経営では、日々、数多くの判断や決断を迫られます。
それらは一見「その時々の意思決定」見えますが、
実際には、
- どの前提で考え
- どこで迷い
- 何を拠り所に決めているのか
というような判断のプロセスの積み重ねになります。
コーチングが主に扱っているのは、この「判断のプロセス」そのものです。
プロセスは売上やKPIのように即座に数値化できるものではありません。
時間の中で、少しずつ形を変えていきます。
だからこそ、コーチングの効果は短期的・定量的には捉えにくいのだと思います。
例えば経営の現場では、意思決定スピードや組織の方向性の一貫性、そして不確実性の中でのリスク判断といった形で、その変化が徐々に現れてきます。
しかしそれらは単発の成果として切り出せるものではなく、日々の判断の積み重ねの中で、静かに組織へ浸透していくものです。
ただし、それは「効果が曖昧で測れない」という意味ではありません。
コーチングを続けていく中で、
次のような変化が、徐々に現れてきます。
- 判断までに要する時間(ブレない軸)
- 迷い方や立ち直り方(レジリエンス)
- 意思決定後の行動の一貫性(自己一致)
これらの効果はセッション直後に評価ができるものではありません。
しかし一定の時間が経った後、「以前とは判断の視座や視点が違ってきている」
あるいは「抽象化や具体化の幅が広がってきている」
という形で、はっきりと実感されるようになります。
ここで言うコーチングとは、セッションの回数や期間の長さを指しているのではありません。
人の思考・行動・意味づけが変化していくプロセスそのものに時間をかけて、クライアントとコーチが共に扱い続ける関わりを指しています。
コーチングが扱うのは思考の癖や意味づけの枠組み、そして行動と内省が循環していくプロセスです。
この場では成功も、失敗も、迷いも次の判断を形づくる素材として蓄積されていきます。
こうした揺れや迷いは、社内の関係性の中では扱いにくいこともあります。
社内の役割や評価から距離のある外部のコーチとの継続的な関係性だからこそ、安心して自己開示ができる場が生まれます。
コーチングが進むにつれて、質問の技法やコーチングの型だけでは十分ではなくなる場面も出てきます。
まだ言葉にならない違和感や、一貫しない感情に向き合う場では、
「コーチがどのような在り方でそこに居るか」
コーチのプレゼンスそのものが、対話の質に影響してきます。
成果はセッション直後ではなくその後の判断や意思決定の場面で、
「気づきと行動変容」として現れてきます。
コーチングとは人や組織の変化を扱うときに、その思考の癖や意味づけの枠組みそのものに触れていくことで、そうした枠組みが揺れ、問い直され、少しずつ更新されていくプロセスに関わり続けていく場となります。
だからこそコーチングは短期的な成果では測りにくく、また同時に長期的には極めて合理的な投資になるのだと思います。
経営の意思決定の質は、まず個人の思考のプロセスから変化していきます。
そしてその変化は、やがてチームの対話や組織全体の意思決定のあり方にも影響を広げていきます。
今回は、経営者や現地法人責任者の方々とのOne on Oneコーチングの視点から、
「判断の質」とROIについて触れてみました。
次の機会には、この個人の変化がどのようにチームや組織の成果へとつながっていくのか、
チームコーチングや組織開発の観点から考えてみたいと思っています。
皆さんは、ご自身や組織の「判断の質」を、どこでどのように磨いていますか?
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