-10 - セミナー登壇(tebiki株式会社主催)の振り返り

シリーズ3回目の投稿(セミナーの振り返り)です。
既にご案内させて頂きました通り、4月21日に Tebiki株式会社様主催のセミナーに登壇致しました。
本セミナーでは、
① 現地化とは何か?
② 在タイ日系企業のプレゼンス低下への問題提起
についてお話をさせて頂きました。
今回の投稿は、現地法人の経営に携わる方々(派遣元である本社部門も含む)に向けて、
このセミナーでの要点を共有させて頂きます。
このセミナーでは「現地化」を制度や仕組みではなく、
「現場との関係性」という視点から捉え直すというテーマでお話をしました。
多くの現地法人においては、
➢ 制度や仕組みは整っている
➢ 標準化やマニュアルも整備されている
それにも関わらず、
➢ 現場が自律的に動いている感じがしない
➢ 意思決定が上に滞留する(上への権限移譲:逆エンパワーメント)
➢ ナショナルスタッフの声(本音)が経営に届きにくい
このような状態が続いています。
ここで一度、視点を変えてみたいと思います。
この状態は、本当に「現場の問題」でしょうか。
その背景の一つにあるのが「マジョリティの無意識な前提」です。
現地法人において、経営層(特に日本人駐在員・出向者)は、
組織の意思決定を規定する「マジョリティ」の立場にあります。
そして多くの場合、
➢ 判断基準
➢ 問題の見方
➢ 正しさの定義
これらの前提が、無意識のうちに本社側の視点に固定されたまま運用されている事が多いのではないでしょうか?
これ等の前提のままでは、
現場の現実は見えにくくなり
ナショナルスタッフの声は聞こえなくなります
結果として、
「言われた事はやるが、自律的に思考したり、自律的に動きにくい組織」が出来上がっていきます。
一方で、ナショナルスタッフの側も現実の環境の中で、合理的に考え行動しています。
「どうせ経営方針は数年毎に変わるから」
「どうせ最終判断は現地にはないのだから」
このような前提の中で、自律的に考え、提案をしていく理由はどこにあるでしょうか?
このように見ていくと、
現地化の停滞は、制度や権限の問題ではなく、
経営側が立っている「無意識の前提」と「関係性の構造」の問題であることが見えてきます。
さらに言えば、
その関係性は、経営側の内面とも無関係ではありません。
➢ 事なかれ主義(自身の駐在期間を減点なく過ごせれば良い)
➢ 専門家としての役割意識(自身の専門外の事には目をつぶっておこう)
➢ 優しさ(地雷を踏みたくないので踏み込まないという選択)
これらは3~5年で交替をしていく駐在員・出向者の個々には合理的なマインドセットかもしれませんが、組織的には現地・現場との関係性を長期間に渡って固定化させてしまう可能性があります。
私自身の経験から、ここで言えることは一つです。
経営側として、自分たちがどのような前提に立ち、どのような関係性を作っているのかに無自覚になっていないか?
現地化とは、
「意思決定の重心をどこに置くか」という経営の意思そのものであり、
その実態は、
関係性の質にどう向き合い、どう関わるかに他なりません。
「品質は工程で作られる」と言われますが、
同じように、現地化は「関係性の工程(プロセス)」で作られる
そしてその工程(プロセス)は、
経営(=マジョリティー=日本人駐在員・出向者)が現場との関わり方を、一歩踏み出した時に初めて動き始める。
今回のセミナーでは、
その一歩を「誰が一歩を踏み出すのか?」
という問いを、ご参加の皆様にさせて頂きました。
現地化やプレゼンスの低下の問題は短期で解決できるテーマではありません。
しかし、
これ等は「重要だが緊急な課題ではない」ために、経営判断として後回しにされやすい領域でもあります。
だからこそ今、あえて問い直したいと思います。
自社の意思決定の前提は、本当に現地に開かれているか?
そしてその前提は、どのような関係性を生み出しているのか?
次回(4回目)は、この関係性を実際に変えていくための視点について、もう少し具体的に整理してみたいと思います。



